スーツ
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この記事は「スーツ」カテゴリーの記事
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2021/05/22
先日お客様とのやりとりの中でこんな質問がありました。
じつはこれ、よくあるスーツのトラブルなのですが、普段綿製品に慣れ親しんでいる私達にとってスーツ(ウール製品)のケア方法を理解するには口頭ではなかなか理解出来ない方も多いと思うので本日はブログにしてみました。
ちなみに、このブログを書こうとスーツのケア方法をネット検索していたら、びっくりする事に大手のテーラーさんのサイトではクリーニングの頻度は”汗の量”で決まる!なんて書いてあるところがありました。
《ドライクリーニング》という方法にも触れず、汗をかく時期には2週間に1度はクリーニングが必要!なんて言うのは明らかに間違いなので、正しいケア方法を知りたい方は是非以下を参考にしてみてください。
ちなみに、これからする説明は一般的なウールで出来たスーツを前提として、ポリエステルなどで出来たスーツのケア方法には該当しませんのでご注意ください。
まず、以下の写真をご覧ください。
こちらは当店で仕立てたスラックスの内側を撮影したものなのですが、ちょうど股のあたりに見える生地(写真1枚目中央のハート型の部分)は汗をかいた時にスーツの表地を傷めない様にと施してある《股ズレを補強する為》の仕立てです。
普通、補強というとジャケットのエルボーパッチみたいに生地を単純にもう一枚重ねて厚くした様な仕様を想像する方も少なくないと思いますが、この構造に不思議と思った方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
こんなんで本当に補強されてるの?と。
ただ、この股ズレ補強の構造が意味するところは、汗をかきやすい股の部分に綿などの汗を吸い込みやすい素材であて布をする事で、表地の部分に汗が届かない様にして、擦れなどによってスーツの生地を傷めない様に予防しているという事と、逆を言えばスーツは水(汗)に濡れて擦れる事に弱いというメッセージと捉える事が出来ると思います。
わざわざ遠回りしてスーツは濡れた状態での擦れに弱いという事を伝えたかったのですが、ちゃんと伝わりましたでしょうか?笑
そしてその基本を踏まえた上で、次に皆さんに覚えて欲しいのがクリーニングにスーツを出すとまず説明がなくても基本《ドライクリーニング》という方法で洗われているという事です。
ウールは上記でご説明した様な濡れた状態でコスれ合うのを一番に嫌いますから、《ドライクリーニング》では水を使わずに油で汚れを落とします。
ですから、《ドライクリーニング》では”水汚れ”は落ちず”油汚れ”しか落ちません。
という事は、油汚れが付いた自覚がある場合にだけドライクリーニングをするのが正解なんですよね。
食べこぼしとか皮脂汚れとか、そういった類のものです。
基本的にスーツは直接肌に触れる部分が少ないのでドライクリーニングは本当に少なくて大丈夫かと思います。
汗をかいたからといってドライクリーニングをしても汗汚れは全く落ちませんのでその点には特に注意してください。
そして、本日の本題である”汗抜き”。
これをお店で勧められたらどうするか?なんですが、、
基本は断ってください。(クリーニング屋さんすみません。。)
水に弱いウールを水で洗うには専門的な設備やノウハウがないと生地を傷めてしまいますので、専門店などに任せるのが懸命です。(もちろん設備を整えてしっかり対応してくれるクリーニング屋さんもいます。)
技術のあるお店を当店でもご紹介していますので、当店のお客様は是非お問い合わせください。
スーツのケアは昔から《ブラッシングとプレス》が基本です。
菌の繁殖なども抑え、汚れを弾く性質を持つウールですから、さほど洗う必要ないんです。
それよりもスラックスの折り目の線であるクリースが消えてしまうなどという型崩れをしてないか、をチェックして、必要であればアイロン掛け(プレス)をしてください。
その際スチーム付きであて布をしてアイロンすれば、汗などもある程度抜けますしその方がドライクリーニングをするよりも断然オススメです。
もし、ご自宅でアイロン掛けが出来ない場合には当店にお持ち込み頂くか、お近くのクリーニング店でもアイロン掛けのみをして貰う様にして貰うのが良いかと思います。
また、当店では再三に渡って季節に合わせたスーツを持つことをオススメしていますが、夏の時期には擦れにも強くした強撚糸の糸で織られたウールのスラックスを揃えておく事はお手持ちのスーツの寿命を長くする為にも重要です。
という事で、スーツを出来るだけ傷めた方がリピートに繋がるだろうというスーツ屋の思惑と生地傷めない様に《ドライクリーニング》を勧めているのにも関わらず、その辺りを理解されてない店員さんが”汗抜き”を勧めるクリーニング屋の矛盾に迫った内容でした。笑
今日のブログを読んで頂いて、少しでもスーツのケア方法について知って頂けたら嬉しいです。
この記事を書いたのは「倉持悠也」
筆者「倉持悠也」について
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大学卒業後勤めた会社で上場、倒産、新会社の立ち上げという激流に流されたTwenties。
自ら城を築くべく、「俺のTailor」を立ち上げる。
しかし、経営者の道のりこそ激流だと気付いたRecentry。
趣味はサーフィン、出来れば南の島で時の流れに身を任せたい。