麻素材のシワの悩みは無用?
味わいのある素材を選ぶ
スーツの業界にいると何度も名前を拝見する白洲次郎氏。
日本におけるダンディズムの象徴のように語られる次郎氏は、新しく買ったスーツは何日か雨ざらしにして味わいを深めていったそうです。
ハリウッドのファッショントレンドの中心にいた、フレッド・アステアは新品のスーツをカベに投げつけると聞いたことがあります。
高級なイタリア製の靴などのアンティーク仕上げなどをご存知の方は多いはず。
あらかじめ、長く履きこんだような味を、職人の筆塗りにて再現しています。
スーツを愛着のあるものにしていく、そんなふうに思って楽しんでいただきたいので、雨ざらしや壁に投げたりは大げさなんですけどね。。。
服は呼吸するものです。
年季を感じさせる味わいを生み、愛着を深めていくにはシワも大事なんです。
麻のジャケットはシワができるから、、、
という話を思いついたのも、お客様との会話からでした。
夏のジャケットをオーダーされるということで、ジャケット生地の見本を眺めている時でした。僕が麻の生地をおすすめさせていただいたところ、
「でも、、、麻はシワができるじゃないですか、、」
勉強不足のため、この時私は「そうなんですよね、」と合わせることしかできなかったのを覚えています。
良質な素材ならば、麻のシワというものは複雑で細かいものです。
大事に着ていただいた服のシワは、着こなしの一つとも言えます。
麻(リネン)素材の特性を楽しむ
麻の性能はコットンに似ています。
吸水性が高く、綿より伸びにくいです。
毛羽立ちがないので光沢に富み、肌触りも優れています。
シワになりやすいという難点に見えるような部分も、味わい。
着こなしの一部として楽しんでいただけたら良いと思います。
100%麻の素材の生地をピックップしました。
イギリスの生地ブランドハリソンズから、麻の最高品質と言われているアイリッシュリネンです。
シワを気にせず麻素材を楽しみたい方は、、、
しかし、シワなくかっちりと着たいビジネスシーンなどのビジネスカジュアルスタイルでも、麻の高級感を出していきたい方もいらっしゃると思います。
そんな時は弾性がありシワになりにくいモヘア、ウールなどを混合し、シワができやすい麻の特性を補っていきます。
54% モヘアと46% リネンという混合の生地。
これもイギリスのハリソンズのコレクションです。
モヘア特有のコシがシワをできにくくします。
少し細かい話ですが、生地は縦糸と横糸を重ねて構成されています。
このような混合のもの、例えばこのハリソンズの生地であれば、縦糸にリネン、横糸にモヘアを使用していて縦ジワを防いでいます。
スーツ生地の混合比率・縦横糸の違い
続いてイタリア、アリストンの生地。
75%ウールと25%リネンの混合。
ウールの比率が多いですが、麻ならではの生地の雰囲気と、涼しそうな配色が素晴らしいです。
夏のリゾートが眼に浮かぶような麻のエレガントさとウールの弾力性、防シワ性を兼ね揃えた一品です。
これはスーツでも作れるような麻混の生地のため、先ほどのハリソンズの混合生地とは逆で、縦糸にウール、横糸にリネンを使用した生地です。スーツを作るための麻混の生地であれば、横シワを防止するように縦糸にウールなどの素材を混合します。
麻の良さを生かした着こなしを
扱いが難しそうということで着るのをためらっていた方も、これからジャケット、スーツを作りたいという方も、麻素材の良いところを知っていただけたと思います。
味わい深い100%麻の生地も、扱いやすい麻の比率が違うものも、多くの生地の種類を揃えることで、お客様の好みや、着られるTPOに合わせてご提案できると思います。
徐々に来シーズン、秋冬用の生地も入荷し始めていますが、夏はまだまだ長いです。これからの夏用に、ジャケットやスーツをオーダーされるお客様も多くいらっしゃいます。
ジメジメとした夏に麻素材ならではの風合いをぜひ着こなしてみてはいかがでしょうか!!
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