仕立て屋の提案
洋服において、男性の選択肢は狭いと言われます。
しかしだからこそ奥深いと考え、私達は着手であるお客様のパーソナリティを最大限に引き出す一着を仕立てる事に集中します。
かつて人々を魅了する数々のアートを生んだミラノ郊外の小さな町『ORENO』の様に、お客様にとっての唯一無二の存在になれる事を祈って。
この記事は「仕立て屋の提案」カテゴリーの記事
洋服において、男性の選択肢は狭いと言われます。
しかしだからこそ奥深いと考え、私達は着手であるお客様のパーソナリティを最大限に引き出す一着を仕立てる事に集中します。
かつて人々を魅了する数々のアートを生んだミラノ郊外の小さな町『ORENO』の様に、お客様にとっての唯一無二の存在になれる事を祈って。
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2020/04/05
スーツをオーダーする際に重要な「生地選び」
まさにメインのお時間であり、一番悩む部分でもあります。
スーツ好きの方は、制限時間いっぱいまでお悩みになられますが、お話しながら・ご要望を聞きながら選んでいきますので、ごゆっくりと集中できるように当店ではご来店を完全予約にしているということですが、、、。
当店の取り扱い生地だけでも1000種類は超えてくるかと思います。
「そんな中本当に決まるのか、、、(実際はご予算でまず大まかに絞り込めますが)」という不安も多いはず。
今回は、大きく性質の異なる「イギリス生地」「イタリア生地」の違いにフォーカスして、スーツの生地の選び方、そしてそれぞれの生地のおすすめの「仕立て方」を考えていきたいと思います。
生地の生産国によって、主に「イギリス」か「イタリア」で生地の性質が変わります。
まず生地はそれぞれの国の「気温」が関係してきます。
イギリスという国は緯度が高く、一年を通して気温が低い国で、基本的には「冷房」はあまり必要とされません。
イギリス生地というのは基本的に厚みのある暖かい生地が多く質感もしっかりとしています。
そのため、イギリス生地は「ハリ・コシ」のある生地感が特徴です。
しかし「ハリソンズ」などの世界的に供給しているブランドでは、様々なコレクションが用意され、夏用の生地なども展開されています。
イギリス生地の雰囲気で夏用のスーツを作りたい場合などは、このような春夏用に作られたコレクションの生地の使用をおすすめいたします。
一方イタリアの気候というのは、年間を通して晴れの日が多く、乾燥している地域です。
イタリアのスーツの文化はイギリスから伝わりますが、気候のギャップとイタリア人の美意識などの文化の違いにより、だんだんとスーツのスタイル、生地も変化していきます。
イタリア生地の最大の特徴は、「柔らか・光沢感」
流行を追い、その時代・その瞬間を美しく着こなす国民性が非常によく現れた結果、今のような特徴をもつ生地が生まれています。
生地の製造にもイギリスとイタリアとで違いがあります。
イギリスに関しては、紡績(毛を糸にする工程)はこの会社、織りはこの会社、染色は、仕上げは、とそれぞれの工程で、違う業者が存在し「分業制」の作り方をします。
それに対してイタリアは「一貫紡」最初から最後までの全ての工程を一つの会社(ブランド)が行います。
この作り方の違いにより「イギリス生地は伝特的な色柄が多く」「イタリア生地はファッショナブルでオリジナリティあふれるデザインが多い」特徴が生まれます。
生地の色柄は多種多様に存在します。
前述したように、それぞれの国の工程の特徴により、作りだす雰囲気は違いますが、ここでは主な生地の色柄についてご紹介します。
グレンチェック
バーズアイ
シャークスキン
ウインドペン
ピンストライプ
フランネル
チョークストライプ
グレンチェック
バーズアイ
シャークスキン
ウインドペン
ピンストライプ
同じ種類の柄でも、イギリスのシックで伝統的な色合いと、ファッショナブルなイタリア生地とで、違いが見られます。
つける裏地やボタンなどのテイストにより、全体の雰囲気を変えることもできます。
ブラックのボタンをつけると、よりかっちりと、フォーマルな雰囲気。
ブラウンなどのボタンをつけるとややドレスダウンし、カジュアルな要素がたされます。
ナット(植物のタネから作るボタン)やウッドボタン、メタルボタンなどもありますので、作りたい印象や着用するシーンに合わせ変化してみてもいいかもしれません。
スーツなかに使用する裏地にもこだわりを入れることができます。
見えづらい部分ですが、個性を表す重要なポイントです。
素材は主に「ポリエステル」と「キュプラ」が存在し、一般的にキュプラが高級とされています。
キュプラの特性として、汗を吸い取りやすく、発散し、衣服の中の環境を快適に整えてくれます。また、肌触りが良いので着用感もいいです。
生地によって、作りやすいスーツのスタイル、シルエットも存在します。
ハリ・コシのあるイギリス生地は「構築的」に仕立てやすい生地になっております。
構築的ということは、体のラインに合わせてというより、スーツのシルエットをしっかりと作って、体のスタイルをカバーするということ。
細身だが「よりかっちりと見せたい」「体格がよくメリハリをつけたい時」など、スーツのシルエットによって体型を補正することによって、よりクラシックなスタイルを作り出すことができます。
お体によっては芯や肩パッドは硬く厚いものを使用することで、体型の癖をカバーできます。
それに対し、イタリア生地は体に纏う感じで仕立てやすい柔らかい生地が特徴です。
「自身のスタイルを生かしたい」「体のラインなどを強調したい」など、より体にぴったりとしたタイトなスーツを作る場合に向いています。
芯や肩パッドなどは柔らかいものを使用し、胸まわりに沿ったようなシルエットを提案します。
それぞれの生地の特徴を生かしたオーダーを少しでも考えていただくと、普段のオーダー、生地選びがより楽しいものになるかと存じます。
着用したい好みのシルエットや、色柄、スタイル、様々な要素で、オーダースーツをご提案できるのではないでしょうか?
この記事を書いたのは「木村駿平」
筆者「木村駿平」について
木村駿平をSNSでフォローするならこちら
某ファッション学校にて、レディースオートクチュールのパターン作成、縫製を専攻。
卒業後、「俺のTailor」に入社。
奥深い紳士服の世界に刺激を受けながら、日々勉強中。
趣味はワークアウト。自分のオーダースーツが着れなくなるほどの体型変化に気がかりながらも
週に3回トレーニングに費やす。サプリメント中毒者。