紳士服にまつわる用語集
洋服において、男性の選択肢は狭いと言われます。
しかしだからこそ奥深いと考え、私達は着手であるお客様のパーソナリティを最大限に引き出す一着を仕立てる事に集中します。
かつて人々を魅了する数々のアートを生んだミラノ郊外の小さな町『ORENO』の様に、お客様にとっての唯一無二の存在になれる事を祈って。
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洋服において、男性の選択肢は狭いと言われます。
しかしだからこそ奥深いと考え、私達は着手であるお客様のパーソナリティを最大限に引き出す一着を仕立てる事に集中します。
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2017/06/06
みなさん、買い物をする時、どんなこだわりがありますか?
私は作り手がこだわっているものが好きで、そのこだわりを知っていると使っているうちもワクワクしてしまいます。
僕が服飾学生のとき一番悩んだのが「ハサミ」。
実は僕左利きで、布を切るのにも糸を切るのにも、紙を切るのでさえも苦労しました。
紙切りバサミなら市販でも左利き用が多くなってきましたが、布切り、糸切りのハサミはなかなか探すのに苦労しました。
布切りバサミにも種類があり、持ち手もハサミのつけ方も左利き用の総左バサミというものと、左利きのハサミをずっと使ってきた人などは、持ち手だけ右利き用、ハサミのつけ方が左利き用の足左バサミというものがありました。
そんな中見つけたのが「播州刃物」という刃物屋さんでした。
「播州刃物」の一本の鉄から手打ち鍛造で製造されるハサミには刀作りというところから今までの250年の歴史があり、それをコンテンポラリーなプロデュースにより、新しいデザインのもと、より多くの人に知ってもらう、使ってもらうような物作りをされています。
スーツもビジネスだけでなくプライベートでも使用していただくものであり、とても身近なものです。
今、私もテーラーとしてお客様に使用していただくものを作り出す立場になり、ただ作っていただくのではなく、着ている間もワクワクするような、、、そんなスーツのこだわりをご紹介しようと思います。
まず、前から見て一番目立つ襟です。
ここには、オーダーメイドならではの「毛芯」を入れるこだわりがあります。襟の部分を返してみるとそれをみることができます。
毛芯を止めた糸が見えるのがわかりますか??
なるべく見えないように繊維の1,2本くらいをすくって縫っているので見えづらいかもです。。。
絵で表現するとこのような感じです。
接着芯ではなく毛芯を使うことにより、着心地や耐久性に差が出てきます。
湿気の多い日本では接着芯は特にヨレが出てくることがあるので毛芯を使うことで、より長く綺麗に着ることができます。
また毛芯はハリもあるので襟の折り返しが立体的になり綺麗なシルエットとなります。
綺麗なラインです。これだけで人とは違う、かっこいいシルエットになること間違いないですね!!
次に裏の仕立てです。
こだわる方は裏の方がこだわりたかったりしますよね!
裏地にこだわりがある方は多いと思いますが、こちらは隠れた部分のこだわり「お台場仕立て」です。
お台場仕立てというのは内ポケットの周りにまで表地を伸ばした仕立てのことです。東京湾に突き出たお台場に似ていることからこう呼ばれているらしいですね。
ブランドのものや、高級スーツなどに見られるこの仕様、着ているご本人にしか見えないようなものですが、細かく嬉しいディティールだと思います。
ダメージの受けることの多い裏地を交換する際に、ポケットまで変更しなくてもいいように施された職人の工夫でもあります。
次に「本切羽」
袖口の仕様です。
昔ながらの仕様で、装飾的な意味合いが強いです。
既製品などではボタンホールに見える刺繍が施され、ボタンも飾りボタンであったりします。
ここが開閉できることにより、着こなしにアクセントをつけることができます。
一番最後のボタンだけ外して見たりするのもおしゃれです。
写真のように、ステッチの色を変えることもできます。
こういう細かいこだわり、男心くすぐられますね〜
オプション料金のかかるお店も多いそうですが、当店は本切羽は無料でつけさせていただいています。
また、ストライプやチェックの生地を選ばれときなど、こだわりたいのが柄合わせ。
ここも見た目に関わってくるので大事です。
胸ポケット
脇ポケット
全体
ここも柄があっていて、綺麗だと嬉しいポイントです。
、、、、、とここまでスーツの仕様についてのこだわりを書きました。
最後に一番のこだわり、文字だと伝わらないのですが、「着た時の軽い着心地」です。
オーダーメイドにより、体にフィットするスーツは着心地が本当に軽いです。
動きやすいです。生地の重さの問題ではなく、肩に乗るような感覚があり、着心地が軽いのです。お客様のスーツなのに出来上がってくると僕が喜んでしまったりします笑
それだけ、オーダースーツ、魅力的なんです、、
先日当店でご注文していただいたお客様のI様は「こんなに最高の着心地は今までにない!!!最高です!!!」とおっしゃっていただけました。
うれしかったです。
満面の笑顔の I様 ありがとうございました!!
オーダースーツを作ったことのない方、普段着にジャケットを取り入れたい方などにもこだわりの詰まったスーツを着る楽しさをぜひ知っていただけたら幸いです。
この記事を書いたのは「木村駿平」
筆者「木村駿平」について
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某ファッション学校にて、レディースオートクチュールのパターン作成、縫製を専攻。
卒業後、「俺のTailor」に入社。
奥深い紳士服の世界に刺激を受けながら、日々勉強中。
趣味はワークアウト。自分のオーダースーツが着れなくなるほどの体型変化に気がかりながらも
週に3回トレーニングに費やす。サプリメント中毒者。