雑談
洋服において、男性の選択肢は狭いと言われます。
しかしだからこそ奥深いと考え、私達は着手であるお客様のパーソナリティを最大限に引き出す一着を仕立てる事に集中します。
かつて人々を魅了する数々のアートを生んだミラノ郊外の小さな町『ORENO』の様に、お客様にとっての唯一無二の存在になれる事を祈って。
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洋服において、男性の選択肢は狭いと言われます。
しかしだからこそ奥深いと考え、私達は着手であるお客様のパーソナリティを最大限に引き出す一着を仕立てる事に集中します。
かつて人々を魅了する数々のアートを生んだミラノ郊外の小さな町『ORENO』の様に、お客様にとっての唯一無二の存在になれる事を祈って。
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2018/08/01
昨年末、こんな感じ(かどうかは定かではありませんが。笑)でファッション業界全体に激震が走った【ZOZOSUIT】の発表。
最近も何かと話題のZOZOさんですが、例に漏れずイチ消費者の私達の元にもようやくZOZOSUITが届いたのでその使用感と、先日発表されたばかりのビジネススーツを早速オーダーしてみた時の感想を仕立て屋として書いてみました。
一応、仕立て屋として書くのでZOZOビジネススーツをネットでオーダーする時のコツなんかもちょっと載せてみましたのでよろしければ参考にどうぞ。笑
結論から言うと採寸結果はすごいの一言。笑
ただ、いくつかの疑問点も残ったというのが正直なところでした。
センサー式だった時には採寸の誤差が凄いあるとSNS上でも散見されていましたが、最新のマーカー式ではそれもあまりなくなり、私達もZOZOSUITで3人が一人2回ずつ計測してみたところ計測結果の誤差は最大3センチに留まっていました。
この誤差をどう捉えるかですが、ZOZOブランドが提供する商品は現状ではパターンオーダーが主なので、3センチの誤差は製品にそこまで大きく影響はしないんじゃないでしょうか。
それよりも計測した3人全員が唯一同様に気になった点は、測る毎に変わる計測の誤差ではなく、ヌード寸法と大きく違う【胸囲】のサイズでした。
これが何度測っても私達仕立て屋が使うヌード寸法よりもかなり小さく計測され、最大で6センチも違う数値になっていました。
さずがに6センチも誤差があれば注文した製品がキツすぎる等の事例が多く出てくると思いますが、これが我々仕立て屋が想定している胸囲の位置と違う事が原因なのか、もしくは脇の下にあるマーカーが読み取れず数字が間違っているからなのか、はホームページ等で調べてみてもよくわかりませんでした。
実際問題、消費者目線で重要なのは採寸結果よりも出来上がってくる製品の方ですから、ここをどうシステム上で動かしているかが今後の評価が分かれるところではないでしょうか。
先日発表されたZOZOブランドのビジネススーツ。
ZOZOSUITの採寸結果を元にビジネススーツを作るというオーダーメイドの商品です。
無地3色、ヘリンボーン柄4色の計7種類の生地から選べて、今なら定価39,900円がお試し価格で21,900円という設定で売り出されています。
ターゲットを考えてみると定価39,900円は結構高いなと感じていましたが、今後このお試し価格がどうなっていくかは既成品市場を含めスーツを販売する会社にとって目が離せないサービスである事は間違いなさそうですね。
ZOZOの前澤社長が着ているスーツを含め、会見でお披露目されたスーツを見る限り仕立て屋目線では現状安っぽさを感じますが、この価格でそれなりのものが自宅にいながら出来るのであれば魅力を感じる人もかなりいるのではないでしょうか。
実際、街で多く見かけるお世辞にも格好良いとは言えないビジネスマンの多くがZOZOSUITでビジネススーツを買うだけでかなり格好良くなると思います。
まず、サイズに関しては1ミリ単位でのオーダーはできませんが、ZOZOが推奨するサイズに対して前後1センチ位までは主要な箇所でカスタム可能になっています。
そしてデザインに関しても、ポケットや裏地、ベントやネーム刺繍という必要最低限の物はしっかり用意されている感じです。
仕立て屋として高評価だったのは、オプションにベルトレスのサイドアジャスターが設定されていたところやサイズ選びに使われている写真が分かりやすかったところです。
ただ、さすがに芯地や肩パット、襟幅、パンツのタックやスーツスタイルについては触れられておらず、選ぶ事も出来ない様になっているので【ZOZOが推奨するスーツの形】を注文した全員が同じ様に着るという点は避けられないところです。
そのうち見る人が見れば、それ、ZOZOのビジネススーツだね!と分かる時代が来るかもしれませんね。
まずはスーツを一着でも持っている方ならそのスーツを手元に用意すると良いと思います。
サイズをオーダーする時にそのスーツと比べてどういうサイズにしたいのか考えればば、一着目から希望に近いサイズ感を手に入れる事が出来ると思います。
各箇所の測り方はネットで検索すれば分かるので、メジャーを用意しておくといいかもしれません。
あと、お尻周りのゆとりは大きめに設定されているみたいなので、推奨サイズからマイナスする位がちょうど良いと思います。
お尻周りにゆとりが大きいと、破れるリスクは減りますが、圧倒的に後ろ姿の見栄えは悪くなります。
ファッション好きの方は昔から自分の身体のヌード寸法を把握して、服のサイズ選びに役立ててきたと思いますが、ZOZOSUITのデータを使えば今度は服が自分のサイズに合わせてきてくれるという、革命的なサービスなんですよね。
オーダーメイド商品だけでなく、既成品でもこの採寸データが活かされる様になれば、もっとネットでの洋服選びが楽になりますし、もしかしたら、今後はS、M、Lのサイズ表記がなくなる時代が本当に到来するのではないでしょうか。
ただ一方で、服のブランドによってサイズ感が違っているように、フィット感の好みまでの反映は、体のサイズがわかっただけでは決められず、スーツにおいて重要な「どういった仕事をしているのか、どのような場面で使うのか、性格は、雰囲気は、似合う色は」など、パーソナルな要素に対しての適正化は難しいです。
サービスを使う側の人間も【最適解を狙うからこそ個別に対応出来ないパターン】がある事と、【誰にでも分かるサービスにする為に削られている重要なパーツ】もある事は今後この種のサービスが生まれていく中で覚えておかないといけないかもしれませんね。
もう今やどの分野でもそうかもしれませんが、VSテクノロジーの時代の波が押し寄せて来てますね。
今回の件で改めて、私達もそれを実感する事が出来ました。
人である以上、視野の広さ(物を見る視点の多さ?)では負けたくないものです。笑
前提条件として、今回ZOZOさんの推奨する【最適】サイズでオーダーした結果になります。
正直、結果的には【肩傾斜等の体型補正まで出来るオーダーメイドスーツ】と当初から謳っていましたが、同じオーダースーツというくくりで一緒にされてしまうと???な結果でした。ジャケットの仕立ても簡易的な2面構成で、きっと普段からオーダースーツを仕立てている方が満足する結果にはならないのではないでしょうか。(ZOZOさんすみません!最後にお茶を濁すのも後味が悪いので、現時点での正直な感想です。)
ただ、お直しに関しても1年間は無料、ZOZOSUITの目指す正しいサイズ感に関してもしっかりアナウンスがされていたので、そこには本当に感服してしまいました。
【VSテクノロジー】シリーズとして、また何かありましたらレビューしたいと思います!
この記事を書いたのは「倉持悠也」
筆者「倉持悠也」について
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大学卒業後勤めた会社で上場、倒産、新会社の立ち上げという激流に流されたTwenties。
自ら城を築くべく、「俺のTailor」を立ち上げる。
しかし、経営者の道のりこそ激流だと気付いたRecentry。
趣味はサーフィン、出来れば南の島で時の流れに身を任せたい。