スタイリングテクニック
洋服において、男性の選択肢は狭いと言われます。
しかしだからこそ奥深いと考え、私達は着手であるお客様のパーソナリティを最大限に引き出す一着を仕立てる事に集中します。
かつて人々を魅了する数々のアートを生んだミラノ郊外の小さな町『ORENO』の様に、お客様にとっての唯一無二の存在になれる事を祈って。
この記事は「スタイリングテクニック」カテゴリーの記事
洋服において、男性の選択肢は狭いと言われます。
しかしだからこそ奥深いと考え、私達は着手であるお客様のパーソナリティを最大限に引き出す一着を仕立てる事に集中します。
かつて人々を魅了する数々のアートを生んだミラノ郊外の小さな町『ORENO』の様に、お客様にとっての唯一無二の存在になれる事を祈って。
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2017/12/06
普段からスーツを着るビジネスマンの方でもスーツスタイルについて知っている方はまだまだ少ないのではないでしょうか。
もしかしたらこのスーツスタイルについて知っておくと、スーツにこだわりたい方は自分がどこのお店でスーツを買えばいいのか?どんなアイテムを揃えると良いのか?という事を知るきっかけにもなるかもしれないので是非参考にしてみて下さい。
まずスーツの礎となる英国スタイルについて触れていきたいと思います。
ブリティッシュスーツに対する表現としては、以下のような表現がよく使われています。
いずれにしても、硬くて重そうな感じがします。
スーツ作りにおいては、風土と文化等が絡んでくるのですが一般的にブリティッシュスーツというのはやや角ばった肩のライン、絞ったウエストライン、細い腕周りで人間の身体のラインを一番美しく魅せるスーツだと言われています。
分かりやすいのが、かのリンゴ・スターの写真。
こちらは英国のSavile rowにも大きな影響を与えたトミー・ナッター氏が仕立てたスーツで、デザイン的にもかなりエッジが効いてますが、盛り上がった袖山と細い袖周りでまさに鎧の様なスーツに仕上がっています。
ブリティッシュスーツにも大きくわけてオーセンティックなものとモダンなスタイルが存在しますが、当店では後者のモダンブリティッシュのスタイルも採用しています。
やや角ばった肩周りに細めの衿幅、ウエスト位置が低くシェイプされたウエストが特徴です。
こちらのウィリアム王子が着用しているスーツもモダンブリティッシュのスーツと言えると思います。
一方ブリティッシュスーツに影響を受けながらも、独自に発展してきたスーツスタイルがイタリアにあります。
ブリティッシュスーツとは対照的にイタリアのスーツには以下の様な表現がよく使われています。
これにはイタリアの暖かい風土や自由な人の気質も影響していますが、Savile rowでも修行を積んだ職人さん曰く後に説明するナポリスタイルのスーツは当時田舎もんのスーツだと揶揄されたとも聞いた面白いエピソードがあります。
ただ、気候や国柄が違えば同じものでも独自の発展をしていくのは当たり前の事ですね。
実際イタリアでも比較的暖かい南部のナポリスタイルと東京よりも北部に位置するミラノスタイルに分かれます。
ナポリスタイルでは丸みを帯びたシルエットで肩周りにパットも入れない柔らかいシルエットが特徴です。
当店のカジュアルなジャケットスタイルにも採用されているスタイルですが、さらに肩周りをシャツの様に仕立てるる『マニカカミーチャ』もこのスタイルの特徴といえます。
時代によって変わってきたスタイルとも言えますが、イタリアのスーツを求めてきた日本人のスタンダードとも言えるスタイルかと思います。
当店の『イタリアン・クラシコ』がこのスタイルにあたります。
余談ですが、以前お仕事をした事があるスーツに詳しい俳優さんも(今まで色々着てきたけど)イタリアのスーツが一番着やすいよね?と言っていました。
一方、独自の解釈でこのヨーロッパのスーツに影響を与えてきたのが『アイビースタイル』、アメリカのスーツスタイルです。
アメリカのスーツはこの様な表現が良く使われます。
前身頃にダーツがなくウエストを絞らない寸胴シルエットで、肩先も落としたナチュラルショルダーになっています。段返りの3つボタンや襟周りなどに目立つステッチもこのスタイルの特徴です。
当店の『ロイヤルサック』は従来の古臭いサックスーツに改良を加えた現代的なシルエットでこちらも今は人気のスタイルとなっています。
メンズファッションでもスーツスタイルの流行りを牽引しているのはやはりイタリアです。
スーツスタイルに大きな影響を与えたジョルジオ・アルマーニもミラノですし、メンズファッションの祭典、ピッティウォモもイタリアです。
また、世界的にも空調機能の発達によってオフィスの環境が良くなったというのも、イタリアのスーツが世界を席巻している理由の一つと言えます。
寒さを凌ぐ機能を持った服地を多く生産しているのはイギリスですが、年中着れるスーツ生地が多いのはやはりイタリアです。
日本でも独自に発展してきた仕立て屋業、一時期はコンクールで賞を取る事がもてはやされた時期もあり日本の職人さん達は趣向を凝らして様々なスタイルを打ち出しました。
お座敷スーツという政治家が畳の上であぐらをかく為に改良されたスーツもあったそうです。(立ち姿は散々だったらしいですが、、)
また、写真はありませんが当店でもご年配のお客様にこのジャパニーズスタイルのスーツを提案する事があります。
日本の政治家が着ているスーツをイメージすると分かり易いと思います。
羅紗屋(生地屋)さんに言わせると実は日本の仕立て屋が一番生地の種類を多く扱っているそうです。
スーツの本場イタリアやイギリスでも仕立て屋においてある生地のブランドは大体2,3だと言います。
四季がはっきりしていて、良くも悪くも影響されやすい日本人の気質がここにも現れているかもしれませんね。
当店では多様化しているお客様のスタイルに合わせ、より『似合う』物を提案する為にそれぞれのスタイル見本を用意し、実際に着て頂ける時間を設ける事でなるべくお客様の好みにあったスーツスタイルを提供しようと考えています。
スーツの仕立てにおいて実は生地選びと同じ、というよりも密接に関わってくるスタイル選び。迷ったかたは是非ご相談下さい。
この記事を書いたのは「倉持悠也」
筆者「倉持悠也」について
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大学卒業後勤めた会社で上場、倒産、新会社の立ち上げという激流に流されたTwenties。
自ら城を築くべく、「俺のTailor」を立ち上げる。
しかし、経営者の道のりこそ激流だと気付いたRecentry。
趣味はサーフィン、出来れば南の島で時の流れに身を任せたい。