スーツ
ビジネスウェアを必要とする多くのビジネスマンや経営者、起業家、ビジネスに成果を求める人。
あなたのキャラクター、体型を最大限に活かした飽きのこない実用的な服「リアルクローズ」を、俺のTailorは提案いたします。
この記事は「スーツ」カテゴリーの記事
ビジネスウェアを必要とする多くのビジネスマンや経営者、起業家、ビジネスに成果を求める人。
あなたのキャラクター、体型を最大限に活かした飽きのこない実用的な服「リアルクローズ」を、俺のTailorは提案いたします。
この記事は「スーツ」カテゴリーの記事
テーラーという私達のものづくりの世界では常に【人の手】による職人のハンドワークにスポットライトが当たりがちですが、今回はそのさらに先にある【人の手】のお話しで、服地の原料となる、とりわけ【モヘア】の生産で今世界を震撼させている【フェレイラ兄弟】についてお話しをしたいと思います。
私もこの生地を初めて手にした時は『こんな事ってあるのか!?、、、』と自分の目を疑ってしまい、服地メーカーさんにこれは何だ!?と恐喝まがいの尋問をしてしまったほどです。(メーカーさん、その際はすみませんでした。。)
さて、皆様は【モヘア】と聞いて何の事だかすぐにお分かりになりましたでしょうか?
分かる方はかなりのスーツ好きか私と同じ《素材マニア》の方かもしれません。笑
モヘアというと《アンゴラヤギ》という動物の繊維の一種で私たちの業界でも、ウールやカシミアなどに並んでよく使用する動物の毛になります。
このアンゴラヤギのモヘアは南アフリカで主に生産されているというのは、私たちの業界では周知の事ですが、その南アフリカでの気候や飼育環境に満足がいかず数千頭ものヤギたちと一緒にオーストラリアに移住をしたというのが、今回モヘアの生産者で世界的に一躍有名となった【フェレイラ兄弟】です。
オーストラリアに移住してから10年、このフェレイラ兄弟が生産するモヘアには【フェレイラ・モヘア】と名前が付けられ、トレーサビリティ(原産地証明)が付きその価値について今もブランディングされ続けています。
《兄のGT・フェレイラ氏とイタリアの紡績会社Safil社CEOのチェザーレ・サビオ氏》
【フェレイラ・モヘア】は、その繊維が『細く、白く、長い』事が特徴です。
まるで『安い、早い、旨い』かの様ですが、動物繊維の世界では上記の条件が揃ったものがより高価とされ、フェレイラモヘアは思わずヤバいと表現してしまう程、飛び抜けた存在となっています。
具体的には通常のキッドモヘアと言われる生後1年に満たない時期の毛が通常の25〜30ミクロンに対し、フェレイラモヘアではその約30%も細い19〜22ミクロンの毛を実現しているのです。
スーツに詳しい方であればピンと来た方がもしかしたらいるかもしれませんが、19ミクロンというと《スーパー100》に近い細さで、ウールの中でもドレッシーな位置づけとされます。
それによって、今までモヘア100%の梳毛生地だとがっしりとした《平織り》でいかにもゴリゴリなモヘア生地というモノしか織れなかったのが、《朱子織り》や《綾織り》も出来る様になり、艶っぽく滑らかなハリ感のある生地を織る事が出来るようになったのです。
そして、これだけのモヘアですから服地のサプライヤーたちが自分たちのものとしようと【フェレイラ・モヘア】を買収しようと動いたのは想像に容易いと思います。
しかし、フェレイラ兄弟は自分たちが手塩を掛けたモヘアが産地もわからない繊維と混ぜられたり、自分たちの名前が消えてしまう事を懸念し、あのゼニアの話しすら断ったと言われています。 フェレイラモヘアの原毛。葛利毛織さんの工場見学の際に触らせてもらいましたが一般的なモヘアと比べるとまったく別もの、まるでウールの様な段違いの柔らかさでした。
そして、『オーストラリアモヘア』として大々的にPRされたオーストラリア大使館の品評会でこの生地に出会っったのが、私たちも以前から取り扱わせて頂いている【葛利毛織(くずりけおり)】さんです。
葛利さんといえば世界的にも稀となった《ションヘル織り機》を使用した生地メーカーさんで、私たちの世界では知らない人はいない程、メイドインジャパンを代表する企業さんです。
その葛利毛織さんがフェレイラモヘアの中でもより細くて良質な原料のみを選んでションヘル織り機で織ったスーツ生地がこちら。
綾織りの良さが最も良く表現される《濃紺のヘリンボンストライプ》
スーツが仕立て上がったらまた紹介させて頂きますが、サンプルブックに収まっていてこの存在感はさすがフェレイラモヘアを見事に昇華させた葛利毛織さんの、奇をてらわず素材を活かしたものづくりは秀逸です。
今季より発売、無くなる前に是非。
この記事を書いたのは「倉持悠也」
筆者「倉持悠也」について
倉持悠也をSNSでフォローするならこちら
大学卒業後勤めた会社で上場、倒産、新会社の立ち上げという激流に流されたTwenties。
自ら城を築くべく、「俺のTailor」を立ち上げる。
しかし、経営者の道のりこそ激流だと気付いたRecentry。
趣味はサーフィン、出来れば南の島で時の流れに身を任せたい。