仕立て屋の提案
洋服において、男性の選択肢は狭いと言われます。
しかしだからこそ奥深いと考え、私達は着手であるお客様のパーソナリティを最大限に引き出す一着を仕立てる事に集中します。
かつて人々を魅了する数々のアートを生んだミラノ郊外の小さな町『ORENO』の様に、お客様にとっての唯一無二の存在になれる事を祈って。
この記事は「仕立て屋の提案」カテゴリーの記事
洋服において、男性の選択肢は狭いと言われます。
しかしだからこそ奥深いと考え、私達は着手であるお客様のパーソナリティを最大限に引き出す一着を仕立てる事に集中します。
かつて人々を魅了する数々のアートを生んだミラノ郊外の小さな町『ORENO』の様に、お客様にとっての唯一無二の存在になれる事を祈って。
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2020/01/23
よくシャツのオーダーの際に頂くお話しに『襟をちょっと硬めにしてくれる?』とか逆に『柔らかくしてくれる?』なんていうお話しをお客様に頂きます。
襟型などは拘ってお仕立て頂く方も多いかと思いますが、襟周りやカフスなどに入る副資材の芯地までご指定頂くお客様はどのくらいいらっしゃいますでしょうか?
ちょうど昨日ご来店頂いたお客様にご質問を頂いたので、この機会にシャツの芯についても詳しく触れてみようと思います♪
世の中にある既成シャツで一番多いのがこのトップフューズ芯で、簡単に説明すると半永久的に剥がれる事がない強い糊付けをされた芯地の事を言い、これを入れると半永久的にパリッとした見た目と着心地になります。
当店のオーダーシャツは熟練された職人の手によってプレスを行うので、よくいう表地と芯地が剥離する事は殆どありませんが、コストを落として機械を使用した大量生産型のシャツには洗濯を何回か繰り返すとこのパッカリングと言われる現象が多々見受けられる様になるので注意が必要です。
いつもでも張りがあって、硬めの着心地がお好きな方はトップフューズ芯をご指定頂くと良いかと思います。
仕立て上がりの見た目にパリッとした印象を与えつつ、着るごとに柔らかくなるのが仮接着フラシ芯です。
トップフューズ芯は半永久的に剥がれない糊を両面に使用しますが、仮接着フラシ芯の場合は1、2回洗濯をするとすぐに剥がれ落ちる糊を使用しているのが特徴です。
これによって、仕立て上がりはトップフューズの様にパリッとした見た目でありつつも、洗濯するごとに徐々に糊が剥がれて何回かすると完全に表地と芯地が離れるので柔らかくなります。
既製服に慣れ親しんだお客様にとっては、なんとなく販売時の仕上がりがパリッとシワのない方がしっかりしたシャツと捉えられるので、襟周りを柔らかく仕上げたいが見た目も取りたい販売店にとっては都合の良い方法とも言えるかもしれません。
セレクトショップなどで販売されているシャツはこのタイプの芯地が使用されている事が多いと思います。
仮接着芯はいいとこ取りをしたい日本人的な発想をした物なのですが、よくイタリアのシャツは着心地が柔らかくて着やすいなんて言いますが、ナポリの多くの仕立て屋のシャツにはこのタイプのフラシ芯というものが一般的に使用されています。
メリットは柔らかいく着心地が最初から良い事ですが、アイロン掛けなどによっては生地が端に溜まってうまく出来なかったりするのでこの点は玄人好みと言われる所以かもしれません。
イタリアの母ちゃんは世界一大変だなんて良く言いますが、皆こういったシャツを家庭で代々受け継がれたアイロンワークでパリッと綺麗に仕上げるそうです。
また仮接着芯には綿に加えてポリエステルが混紡された芯地なのに対して、フラシ芯の場合は綿100%のものを使用するのでよりやわらかく自然な風合いとなるのも特徴です。
フラシ芯を使用するのには縫製の技術も必要とされる為、熟練した職人さんによる仕上げが必ず必要になってきます。
写真手前がフラシ芯。中で芯地が動く為刺繍をカフスに入れるのはオススメしません。
私の個人的な好みでいうとスーツを上に羽織る事を想定したシャツを仕立てる場合にはトップフューズの柔らかいものを使用する事が多く、逆にシャツ1枚で着たりとカジュアルなシーンを想定したものにはフラシ芯の逆に硬めのもので仕立てて貰っています。
当店では約20種類程の芯地をご用意しておりますので、自分好みに調整したい場合は色々試して頂くのもいいかもしれませんね♪
この記事を書いたのは「倉持悠也」
筆者「倉持悠也」について
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大学卒業後勤めた会社で上場、倒産、新会社の立ち上げという激流に流されたTwenties。
自ら城を築くべく、「俺のTailor」を立ち上げる。
しかし、経営者の道のりこそ激流だと気付いたRecentry。
趣味はサーフィン、出来れば南の島で時の流れに身を任せたい。