仕立て屋の提案
洋服において、男性の選択肢は狭いと言われます。
しかしだからこそ奥深いと考え、私達は着手であるお客様のパーソナリティを最大限に引き出す一着を仕立てる事に集中します。
かつて人々を魅了する数々のアートを生んだミラノ郊外の小さな町『ORENO』の様に、お客様にとっての唯一無二の存在になれる事を祈って。
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洋服において、男性の選択肢は狭いと言われます。
しかしだからこそ奥深いと考え、私達は着手であるお客様のパーソナリティを最大限に引き出す一着を仕立てる事に集中します。
かつて人々を魅了する数々のアートを生んだミラノ郊外の小さな町『ORENO』の様に、お客様にとっての唯一無二の存在になれる事を祈って。
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2020/05/31
どうも、店主の倉持です。今日は珍しく真面目な文字ばかりの投稿少しお付き合い下さい。
職業柄、私の自宅には比較的大きなクローゼットがありますが、その中にジャケットだけでもおそらく20着以上、スーツもそれと同じくそれくらいの数が収納されています。同様に私服や靴についてもかなりの数があります。
当然ながら仕立て屋として季節の変わり目に手早く衣替えが出来る様に自宅のクローゼットも設計しているのですが、衣替えをしてラインナップに出てきてもシーズンに1回しか着ないものや何回も着るもの、お気に入り具合、コーディネイトのし易いもの、等の違いで着る頻度が全然違ってきます。
私の場合はあまり自分の好みや手持ちのアイテムを考えずに、新しい生地が出たとか、新しいコーディネイトに挑戦する為にとか、副資材や新しく作った型紙を試す為にとか、ある意味実験台となって服をあつらえる事も多いので、着る頻度が極端に少ない服も出てきてしまうのですが、当然ですが私達が提案するお客様のクローゼットがこんな状態になってしまってはいけません。
春夏秋冬、四季がある中で適材適所に生活を豊かにしてくれるラインナップを考える事が重要です。
ちょっとかっこいい表現をさせて貰うと、世界中から集った四季折々の服地を通してお客様の魂が喜ぶクローゼットを実現する事が私たちの使命だと思っています。
特に昨今のビジネスウェアのスタイルはスーツ一辺倒だった一昔前に比べて今は多様化していますので、何が自分にとって必要で、どのシーズンの、どんなシチュエーションで着るものなのか、を考える必要があるのではないでしょうか。
これは分かりやすい例かと思いますが、流行が去った服というのはそれを来ているだけでダサいという烙印を押されてしまいそうで着る気になれません。言うまでもありませんが、丈感とかサイズ感とか色とかを含めて、流行を追う服というのはそれだけ賞味期限も短いという事に他なりません。
そのモノ自体は気に入って買ってはみたものの、コーディネイトをどうすれば良いのか分からないとか、持っているアイテムとの相性が悪くて着れないなど、いつか良いコーディネイトの仕方が見つかれば良いのですが、結局殆ど着なかったなんていう事が多くなると思います。
服にはどんな物でも少なからず寿命が存在しますが、単純にこれが原因で手持ちの服が多くなってしまっている方も多いと思います。傷んだ服を直して着るのか、捨てるのか、考えてはいるけど結局何もしない、という様な笑。断捨離が得意でない人、時間がない現代人にありがちな悩みかとも思います。
紳士服の歴史をさかのぼると、私達が今着ている様々なジャンルの服は私達の扱っているスーツやシャツにいきつきます。現代の様に既製服というのが殆ど無かった時代から着られているジャケットには(個人に合わせるという考え方の為)殆ど流行はなく、むしろ一定のルールというのが存在するのです。ですので、流行が終わってしまったから着れなくなったとか、そういう事がないのです。
特に、丈夫な生地で服を仕立てる事の多いイギリス等では親子3世代に渡って服を受け継いでいくという習慣がある程です。
これはお客様との会話の中でもよくする話しなりますが、かのスティーブ・ジョブスは同じ服を何着も持っていた事で有名です。イッセイミヤケの黒のタートルネックが有名ですが、自分の本当に気に入った服を何着も持つ事でコーディネイトに迷わず、経営者として決断しなければ行けない項目を少しでも減らす為だとも言われています。他にもアインシュタインやオバマ元大統領も殆ど同じスーツを着続けた人物として名前が上がります。
ビジネスウェアにおいては少しの知識さえ付けてしまえば、殆どルールで考えられる為センス等は必要ないんです。その上で自分にあったモノをチョイスするというだけなのです。
これは仕立て屋として自信を持って言える事ですが、スーツを仕立てれば必ず誰もが格好よくなります。よく納品時に店内でお客様と写真撮影をしていて良い歳のおじさまたちを相手に、『格好いいですね〜♪』なんて言っていますが、これは本心からくるもので決してお世辞ではありません。笑(言っているのが女子だったらもっと喜んで頂けるのでしょうが、皆様お付き合い頂きすみません。。)
他のジャンルの服にはないスーツの不思議な魅力として、個性を引き立てる事が出来て本当に誰でも格好良くなれるんです。
胸周りからウエストにかけて添う様にドレープするジャケット、お尻周りをキュッと引き締めて見せるスラックスというのは万人を格好良く出来る唯一の魔法のツールだとも思っています。
やはり自分を格好良くしてくれるモノは、単純に価値がありますね。
自分に自信を与えてくれる、資産となる服を当店であつらえませんか?
この記事を書いたのは「倉持悠也」
筆者「倉持悠也」について
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大学卒業後勤めた会社で上場、倒産、新会社の立ち上げという激流に流されたTwenties。
自ら城を築くべく、「俺のTailor」を立ち上げる。
しかし、経営者の道のりこそ激流だと気付いたRecentry。
趣味はサーフィン、出来れば南の島で時の流れに身を任せたい。